【弦交換について~エレキギター編④~】ペグの種類ごとの作業の流れ、弦を切る時の余長は?ちょっとしたコツも。

では、
前回から引き続き、弦を張っていく工程です。

ここからは、弦をペグに巻き付け、弦を張っていく工程です。

ちなみに、
ギターのペグは、大きく分けて横穴式と縦穴式があります。
また、
最近増えてきているロック式ペグは、横穴式にロック機能が付いてるイメージですね。

ここからは、ペグの種類ごとに作業に少し違いがありますので、

・③ちょうど良い長さでペグに弦を通す
・④“真っ直ぐ”に弦を張る

この2つの工程を、ペグの種類ごとに続けて書いていきます。
※工程(③→④)は、弦1本毎に作業した方がスムーズかと思います。

まずはナット溝などの手入れを

【弦交換について~エレキギター編②~】でも書きましたが、ナット溝のお手入れは大切です。

チューニングの安定性や、演奏性に大きく関係してきます。

・ハガキなどの強度のある紙で、ナット溝のチリ・ホコリや汚れを掻き出す

・ナット溝に、潤滑油を塗付する(外した古い1弦の綺麗な部分を使うと良い)

まずはペグの種類に関係なく、ナットの手入れをしましょう。

では代表的な3つのタイプのペグ、それぞれのペグ穴への通し方を解説していきます。

◆縦穴式ペグのギター◆

主に、Fender系のギターに多く使われているタイプです。

弦の先ペグの縦穴に通してから、ペグに弦を巻きつけます。
ですので、見た目がとてもスッキリします。

では、作業のやり方をみていきます。

~③ちょうど良い長さでペグに弦を通す~

縦穴式の場合、縦穴に弦の切っ先を入れてしまうので、あらかじめ丁度良い長さに弦を切っておく必要があります。

フェンダーのストラトに代表される縦穴式ペグのギターは、大抵が片側6連のペグです。
この場合、ペグとペグの間隔1つ分で、ペグに弦を巻いたときに約1周分になります。
これを長さの目安にすると良いでしょう。

各弦のペグに巻き付ける長さの目安として、
・6弦→2周~2周半
・5弦→2周半~3周
・4弦→3周~3周半
・3弦→3周半~4周
・2弦→4周
・1弦→4周半
上記くらいが一般的かと思います。

細かい事なのですが、、
3~6弦の長さに余裕を持たせている理由は、ストラト系のギターは1~2弦にはストリングスガイドが付いていますが、3~6弦には付いていません。
そのため、ヘッド側のテンションの調整は、ペグへの弦の巻数で変わってくるためです。

それでは、上記の目安に合わせて、弦を切りましょう。

次に、ペグの上面にある溝を、ブリッジ方向に向けます。

そして、弦の切った先っぽを、ペグの縦穴に差し込みます。

 ~④“真っ直ぐ”に弦を張る~

弦の切った先を縦穴に差し込んだら、弦をペグに巻き付けていくのですが。
ここで一つ、注意して頂きたいことがあります。

それは、切った弦の先を、ペグの縦穴に差し込んだ時、
弦がネジレてしまっていないか?
ということです。

前回に少し触れたのですが、
ギター弦をパッケージから出したとき、がついてネジレてしまっている弦がないか、チェックしてくださいと書きました。

そういう癖のついてしまっている弦は、そのまま弦を張る時と、ネジレた弦の張り方をすることになってしまいます。

癖の無い弦は、ペグの縦穴に弦を差し込んだ際、ブリッジ~ペグ間で綺麗なアーチ状になると思います。

このアーチ状になった状態で、ペグの縦穴のところで弦を折り曲げます

 折り曲げたら、そのままペグに弦を半周~1周弱くらい巻き付けます。

それくらい巻き付けたら、ある程度はテンションをかけてもペグから弦が外れないので、下の写真のように弦にテンションをかけ、反対の手でペグを回して弦を巻いていきます。
この時、ストリングスワインダーを使うと、断然早く、綺麗に弦が巻けるでしょう。

※テンションをかける際に、癖のある弦ならその癖を直しながらテンションをかけます。

弦を巻き取る余分が少なくなってきたら、テンションをかけている手を外して巻いていきます。

ある程度、弦の振動が音になるくらいまで巻いてやれば、ひとまずOKです。
実際のチューニングの音以上になってしまうくらい、強く巻きすぎないように注意してください。

◆横穴式ペグのギター◆

ギブソンのレスポールをはじめ、横穴式のペグは非常に多くのギターに採用されています。

横穴に弦を通した後、ペグに弦を巻き付けていきます。ちなみに、弦の巻き付け方に関しては2種類あります。
横穴からそのまま下に巻いていく巻き方と、1周だけ横穴の上側を通して巻き、横穴に通した弦を挟み込むように巻いていく巻き方です。

ここでは、後者の通した弦を挟み込む巻き方で作業を行います。

余談ですが、この通した弦をはさむ巻き方は、マーチンのアコギが出荷される時にこの巻き方がされていたことから、「マーチン巻き」と呼ばれたりします。

では、作業のやり方をみていきましょう。

~③ちょうど良い長さでペグに弦を通す~

最初に、全てのペグの穴を、ナットの方向に向けておきます。

横穴式の場合は、弦を切らずにペグ穴に通してしまい、ペグに巻き付けた後で弦の余分な部分をカットする方が、スムーズに作業できるかと思います。

先に弦をペグ穴に通し、ペグに巻き付ける分の長さの余長をとって、弦をペグの部分から上に折り曲げます。
(※各弦のペグへの巻き数の目安は、上記の縦穴式の項を参照してください)

弦にがついてネジレてしまっている場合は、癖をとってまっすぐにした状態で弦を折り曲げましょう。
一度折り曲げてしまえば、真っ直ぐな状態が分かりやすくなり、作業しやすくなります。

この時の弦の余長の目安なのですが、片側6連のペグであるなら、上記の縦穴式ペグの手順に長さの目安を明記しています。

しかし、横穴式のペグが付いているのは、レスポール系に代表されるような、片側に3つずつペグのついたギターが多いかと思います。
ちなみにレスポールの場合だと、6弦でペグ1つ分強、1弦でペグ2つ分ほど余らすのが丁度よいかと思います。

何度か弦交換をやっていくうちに、自分のギターに合った余長の取り方が分かってくるでしょう。

 ~④“真っ直ぐ”に弦を張る~

横穴式ペグの場合は、③の工程で真っ直ぐな状態をつくっているので、そのまま巻いていけば良いかと思います。

ちなみに、レスポール等のヘッド片側3個ずつペグがついているギターは、ボディ側に近いペグから弦を巻いていった方が、作業が楽です。

・6弦→5弦→4弦,1弦→2弦→3弦

といった感じです。
逆のペグから弦を巻いていくと、先に張った弦が少し邪魔になるんですよね。

ここでも弦にテンションをかけながら巻いていきます。
テンションのかけ方は、縦穴式の項を参照してください。
同じく最後は弦を強く巻きすぎないように注意です。

ある程度、弦を巻き取ったところで、最後に余った弦をカットします。

◆ロック式ペグのギター◆

ロック式のペグにも幾つか種類がありますが、今回はシュパーゼル製のロック式ペグで説明します。
ゴトー製のマグナムロックなどもあり、少しやり方は違いますが、ロックの方法が違うだけで、その他の注意点等はほぼ同じです。

~③ちょうど良い長さでペグに弦を通す~

ロック式のペグは、横穴になっていると思いますので、最初にそのまま弦を通してしまいます。
横穴式と同じ方法で、弦を横穴に通します。

しかしながら、他のタイプのペグとは違い、弦をペグでロックしてしまうので、弦の余長を残す必要がありません。
弦交換の作業としては、このロック式が最も楽に作業できると思います。

 ~④“真っ直ぐ”に弦を張る~

弦を横穴に通したら、ペグで弦をロックします。

弦を軽く引っ張っているくらいの状態で、ペグ裏のハンドル(ネジ)を回してロックします。
もちろん、弦は癖をとって真っ直ぐにした状態でロックしましょう。

このときの注意点は、あくまで弦を「軽く」引っ張っている状態でロックするという点です。
強く引っ張りすぎてしまうと、ペグへの弦の巻数が少なすぎて良くありません。

ロック式の、ペグへ弦を巻き付ける目安は、
・6弦~4弦→ペグ半周くらい
・3弦~1弦→ペグ1周弱くらい
といったところです。

弦をロックしたら、横穴式と同じく弦を折り曲げます。

そして、ある程度の張力まで弦を巻いていきます。
ほとんど余長をとらずに弦を巻き付けるため、慣れないと、チューニング前に強く張ってしまいがちなので注意です。

ある程度の張力をかけたら、最後に余った弦をカットします。

次回は・・、

さて、
ここまでペグの種類ごとに、弦をペグに巻き付ける方法をみてきました。

次回は、最後の仕上げ、チューニングをしていきます。
弦を張り替えたばかりの状態は、なかなかチューニングが安定しないので、弦をしっかり伸ばす処置が大切です。

では、今回はこの辺で!

by Akimaru

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