前回まで、弦交換に使う道具や、弦の外し方までをみてきました。
今回からはいよいよ、新しい弦を張っていく作業をみていきます。
前々回にも書きましたが、ここでのコツを押さえておくと、以下のような効果が期待できます。
・チューニングの安定性の向上
・弦のビビリを低減できる
・芯のある出音を期待できる
弦は定期的に換えるものですし、是非とも参考にしていただければと思います。
~弦を張るときの流れ~
弦を張るときの大まかな流れは下記のとおりです。
①新しい弦の状態を確認する
②ブリッジ側から弦を通す
③ちょうど良い長さで弦を切る
④“真っ直ぐ”に弦を張る
⑤弦を伸ばしながらチューニングする
ちなみに、
①④に関しては、一般的なギター本やWebサイトでは、あまり見かけない手順かもしれませんね。
では、作業に入ります。
~①新しい弦の状態を確認する~
まず、
弦そのものにも、個体差で良し悪しがあります。
弦を袋から出して、小さく丸めてある状態をほどいてみましょう。
通常は、スムーズに大きな弧を描くような形になります。
しかしながら時々、ねじれながら弧を描くような、クセがついてしまっている弦もあります。
(※写真の2本の弦のうち、上側の弦がネジレてしまっている弦です)
こういう弦は、そのまま張っても、全然良い音がしません。
工夫して張れば、何とか、、くらいなものです。
僕は以前、ステージで使うメインのギターには、そういう弦は張らずに使っていた時期もありました。
お客さんや共演者に、自分の最善の音を届けるためです。
とあるサックス奏者の方から、
『リードにも個体差があって、当りが少なくてさ。一箱丸々でも捨てちゃうことあるよ。』
なんて話を聞いたこともあります。
しかしながら、その方は音も演奏もとても素晴らしいのです。
楽器は違えど、そんな細かいことの積み重ねが、彼の素晴らしい演奏に繋がっているのだと感じました。
・・少し話がそれましたが、なぜ、弦にクセがついていると良くないのでしょうか?
その理由は、弦をねじれたまま張ってしまうと、弦が正常に振動しないからなのです。
通常、弦をピッキングすると、弦を弾いた方向に細かく反復運動を繰り返して振動します。
ギターのボディに対して、水平方向(平行)に振動するイメージですね。
しかし、クセのついた弦をそのまま張ってしまうと、いびつに回転運動が加わって振動します。
ギターのボディに対して、垂直方向の振動も加わってしまうんです。
いくら水平方向にピッキングしても、どうしても垂直方向のいびつな振動が加わります。
すると、どうなってしまうのか?
まず、垂直方向の振動が加わるので、弦がビビリやすくなってしまいます。
すべての弦が正常に振動する場合は、そうでない場合よりも、若干ですがギターの弦高を低くセッティング出来ます。
コンマ数ミリの弦高調整で、弾き心地は格段に変化しますから、とても重要なことではないかと思います。
次に、音色にも影響があります。
どこかコーラスのかかったような、芯の弱い音になってしまいます。
ギターから出力される音の信号は、しっかり芯のある音であるからこそ、アンプの特性を生かしたり、エフェクトのノリが良くなります。
したがって、ここでの弦の状態確認はとても意味を持ちます。
これを踏まえて、この後の弦を張る作業を行っていきます。
~②ブリッジ側から弦を通す~
ブリッジ側から新しい弦を通していきます。
(※画像はテレキャスの裏通しです)
最初に一気に弦を通してしまっても、一本ずつ張りながら通していっても、作業のやり易い方で良いでしょう。
・・さて、次の手順からは、とても気を付けていただきたい工程です。
今回はここで切り上げ、次回で手順③~⑤を詳しく解説していきたいと思います。
では、今回はこの辺で!
by Akimaru
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