前回は、スラーを演奏するスライドについて書きました。
今回は、ハンマリングとプリングを組み合わせた、“トリル”について書いていきます。
トリルとはどんなテクニックなのか
トリルは、ハンマリングとプリングを素早く繰り返し、2つの音を細かく行き来するテクニックです。
楽曲の中では、装飾音として使われることが多い奏法です。
軸となる音と、その2度上の音との組み合わせが、ベーシックなトリルです。
2度上とは、通常だと1音(2フレット分)上、もしくは半音(1フレット分)上の音です。
トリルの譜面表記
譜面上では、トリルの書かれ方は何通りかバリエーションがあるのですが、基本的に『tr』と書かれている場合が大半です。
幾つかの例を挙げますので、頭の片隅に置いておいて頂けると、役立つときが来ると思います。
実際に演奏する内容は、基本的には上の譜面の内容なのですが、これを省略して以下のように記譜されます。
以下の例は、全て同じ内容のトリルを表しています。
この②のパターンの場合、Cメジャースケールで「ド」と2度上の音とのトリルなので、「ド」と「レ(3弦7F)」のトリルと読みとれます。
これらの他にも、様々な表記のされ方をしますが、基本的に『tr』の表記を目印にするといいかと思います。
トリルの練習法
前記した通り、トリルはハンマリングとプリングを細かく素早く繰り返すテクニックです。
そのため、ハンマリングとプリングの基本を押さえておくことは必須です。
トリルのスピードを上げる、持久力をつける
まずは、トリルのスピードがどうしても速くならないとき。
その原因は、いくつか考えられますが、ハンマリングとプリングのそれぞれにおいて、無駄な動きが多いと考えられます。
ハンマリングとプリングのコツをしっかりとおさえ、最小限の動きでしっかり音が出せるように練習しましょう。
加えて、無駄な力が入ってしまっていたり、左手の筋力不足だったり。
この辺りは、次に紹介する練習法が克服の手助けになると思います。
“ギターを弾く”こと、それが一番の筋トレ
どの楽器にも言えることなのですが、その楽器を演奏するための筋肉は、その楽器を演奏することで鍛えるのが一番手っ取り早いです。
ですので、1日の練習時間が長い方、練習に多く時間を使える方のほうが、演奏に必要な筋肉がよく付くのは当たり前です。
しかしながら、日常の仕事や家事などでギターを弾く時間が限られていたり、なかなか練習時間がとれない方もおられるかと思います。
ギターを持っていなくても、道を歩きながら出来るエクササイズをご紹介します。
トリルを使った、左手の持久力・筋力トレーニング
前置きが長くなりましたが、このトレーニングはいたって単純です。
単純すぎるくらいです。
しかし、効果は抜群!
ぜひ、毎日少しづつ続けて頂きたいです。
まず、ギターを持っている場合は、1弦5Fを人差し指で押さえます。
フォームは、ロックスタイルで押さえましょう。
そして、1弦6Fを中指で、1弦5Fの人差し指とのトリルを、出来るだけ速いスピードで“1分”続けます。
・・どうですか?
なかなかキツイのではないかと思います。
1分経ったら、左手をある程度休めて、
→次は1弦7Fを薬指で、1弦5F人差し指とのトリルを1分。
また左手をある程度休めて、
→さらに1弦8Fを小指で、1弦5F人差し指とのトリルを1分。
・・以上で人差し指が軸となるトリルは終わったので、
次は中指を軸にトリルを1分ずつやっていき、最後は薬指が軸のトリルです。
→中指と薬指のトリル、1分。
→中指と小指のトリル、1分。
→薬指と小指のトリル、1分。
・・もう、左手が良い感じにパンパンになってるのではないでしょうか?
さらにバリエーションとして、
トリルする弦を変えてみたり、フォームをクラシックスタイルに変えてみたり。
多数のパターンが考えられますので、色々な角度の筋肉を鍛えていってください。
ただし、やりすぎは禁物です。
ギターを持っていなくても鍛えられる
外出時などの、ギターを持っていない時にも、どんどんギターを弾く筋肉を鍛えましょう。
右腕の手首付近をギターのネックに見立てて、前記したトレーニングを行うのです。
電車やバスの中だったり、ちょっとしスキマ時間だったり、トイレの便座に座っている時だったり・・。
僕はこのトレーニングのおかげか、左手のフィンガリングは力強くもスピーディーになりました。
そして握力は、右手60kgに対し、左手は80kg以上をキープしていました。
左手の筋力アップによる効果
左手の筋力アップは、単に押弦する力(握力)を鍛えたり、フィンガリングの瞬発力を上げたりといった、テクニカルな面だけの効果だけではありません。
適度な筋力トレーニングでギターを弾く筋肉を鍛えることは、腱鞘炎などのケガ予防にもつながります。
腱鞘炎は、左手の腱が炎症を起こしてしまうケガなのですが、ギタリストの大敵です。
腱は鍛えることが出来ないので、ギターを弾くなどして使いすぎると、どうしても負荷がかかってしまい、それが許容量を超えると炎症を起こします。
特に左手のフォームが良くないと、腱にかかる負荷は大きくなります。
しかしながら、鍛えることができない腱を、サポートして支えてくれるのが、その周りの筋肉です。
適度なトレーニングでギターを弾く筋肉を鍛えることは、ギターを弾くことで腱にかかる負荷を和らげる効果があるのです。
次回は、、
さて、いかがだったでしょうか?
トリルについての記述から、トリルを使った筋力トレーニングをご紹介しました。
次回は、“ハーモニクス”という奏法に触れていきたいと思います。
では、今回はこの辺で!
by Akimaru
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