前回は、ハーモニクスの仕組みについて書いてみました。
やたらと理論っぽい感じの前回でしたが。
今回は実際にギターを演奏する面での、ハーモニクスについて書いていきたいと思います。
色々なハーモニクス奏法の種類
ギターにおいて、ひとくちに“ハーモニクス奏法”と言っても、実は色々な種類のハーモニクス奏法が存在します。
では、代表的なハーモニクス奏法のバリエーションを、幾つか挙げてみます。
- ナチュラル・ハーモニクス
- 人工・ハーモニクス
- タッピング・ハーモニクス
- ピッキング・ハーモニクス
ここでは、ギターソロやバッキングにおいて、比較的使われることの多い上記の4種類を解説していきます。
その1:ナチュラル・ハーモニクス
“ハーモニクス”というと、このナチュラル・ハーモニクスのことを指すのが一般的です。
その演奏方法は、12F・7F・5Fなどのハーモニクスポイントに指先で軽く触れ(押弦はしません)、そのままピッキングします。
そして、出した音をのばす場合には、ピッキングした直後に弦に触れていた指を離します。
ちなみに通常の押弦と違い、ハーモニクスポイントに触れるのは、指先ではなく、指の腹の方がクリアなハーモニクスが出やすいです。
(※出音するハーモニクスポイントによります)
ハーモニクス奏法での音程を知ろう
よく使われるハーモニクスポイントについて、その音程を一覧にしてみました。
開放弦の1オクターブ上が12F、2オクターブ上が5Fです。
また、7Fは5度上、4Fは長3度上です。
よく見ると・・、
12Fのハーモニクスは、12Fを押弦した時と同じ音、
7Fは、7Fを押弦した時の音程のちょうど1オクターブ上の音、
4Fは、4Fを押弦した時の音程のちょうど2オクターブ上の音。
こんな関係性にもなっています。
この4か所は比較的使われやすいので、覚えておくと後々きっと役に立つと思います。
チューニングにハーモニクスが便利
また、ハーモニクスは演奏で使い方だけでなく、チューニングにも使われたりします。
ハーモニクスの特徴の一つ、余計な倍音が出ない音色のため、チューナーでチューニングする際に12Fのハーモニクスを使うと、チューナーの針の動きが安定します。
その2:人工・ハーモニクス
前項でご紹介したナチュラル・ハーモニクスは、基本的に開放弦がベースとなるハーモニクスです。
しかしながら、左手で任意のフレットを押弦した状態から、右手のみでナチュラル・ハーモニクスを出す奏法が、この人工・ハーモニクスです。
例えば、3Fを押弦しているとすると、2倍の周波数のハーモニクスポイントは15Fとなり、開放弦の時の12Fから3F分が加算されます。
こんな感じで、押弦した状態でのハーモニクスポイントを人工・ハーモニクスで音を出し、任意の音程のハーモニクスを得ることができます。
では、
人工・ハーモニクスの際の、右手のピッキングを説明します。
まず、通常は人差し指と親指でピックを持ちますが、人工・ハーモニクスの際は中指と親指にピックを持ち替えます。
そして、空いた人差し指を使ってハーモニクスポイントに触れ、中指と親指で持ったピックでピッキングをします。
このようにして、右手のみでナチュラルハーモニクスを出すかたちです。
その3:タッピング・ハーモニクス
タッピング・ハーモニクスは、ハーモニクスポイントをタッピングすることで音を出します。
人工・ハーモニクスと同様に、左手で押弦した状態からこのテクニックを使い、任意の音程を得る使い方が一般的です。
タッピングのみで音を出すため、アタック感のある独特なサウンドのハーモニクスを得られます。
綺麗に音を出すには、少し慣れが必要かもしれません。
やり方は、ハーモニクスポイントのフレットの真上をタッピングし、押弦せずにパッと指を離します。
タッピングするというより、弦のハーモニクスポイントのフレットを叩いているような感じですね。
その4:ピッキング・ハーモニクス
その名の通り、ピッキングをする右手でハーモニクスを出す奏法です。
これも、左手は任意のポジションを押弦したうえで使われます。
やり方は、ピックをやや深めに持ち、ピッキングした直後にピックを持っている親指の側面で軽く弦に触れます。
もちろん、親指で触れる所は、ハーモニクスポイントです。
しかしながら、あまり音程を気にせず、効果音的に使われる場合も多い奏法です。
主にロック系の楽曲でよく使われます。
ここまで書いてきたハーモニクス奏法は、ほぼ全て指板上でハーモニクスポイントに触れるものでした。
しかし、このピッキング・ハーモニクスは、ブリッジからネックの付け根、つまりは普段ピッキングしている範囲でハーモニクスポイントに触れるかたちです。
指板上でのハーモニクスポイントとは違い、フレットという明確なハーモニクスポイントの目印がありません。
ですので、あらかじめ人工ハーモニクスなどでハーモニクスポイントを探しておき、PUやエスカッションを目印にハーモニクスポイントを把握しておきます。
(※もちろん、左手で押弦するポジションによってハーモニクスポイントは変わります)
そして、そのハーモニクスポイントを狙い、ピッキング・ハーモニクスで出音します。
ピッキング・ハーモニクスは、比較的音程の高いハーモニクスとなる場合が多く、聞き手に強いインパクトを与えます。
しかし、ピッキング・ハーモニクスでミストーンとなった場合、中途半端な原音になったり、最悪は「ペチ・・」というアタック音のみで音が出ません。
上記の方法でハーモニクス・ポイントをしっかり把握しておくのは必須です。
さらには、右手の感覚のみでハーモニクス・ポイントをヒット出来るようになると文句ありません。
次回は、、
さて如何だったでしょうか?
ひとくちにハーモニクス奏法といっても、そのバリエーションは豊かな奏法です。
演奏の中のアクセントとして使うと、とても効果を発揮するハーモニクス奏法。
ぜひ色々なハーモニクス奏法をマスターして、素敵な音色を奏でてください。
次回は、今回ご紹介した色々なハーモニクス奏法について、楽譜での記譜のされ方をご紹介していきます。
では、今回はこの辺で!
by Akimaru
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